和歌山で誕生した柿の新品種

和歌山県は柿の生産量が全国で量も多く、栽培面積は 2,660haを誇ります。しかし、渋柿が77%、甘柿が23%で、渋柿のうち「刀根早生柿(とねわせがき)」が栽培面積の半数を占め、品種の出荷が10月下旬に集中していたため、その前後で市場に出せる柿がなかったのです。空白の期間に戦力となる柿が栽培できるよう研究を進めてきたのが、「和歌山県果樹試験場かき・もも研究所」(紀の川市粉河)です。

かき・もも研究所の開発によって、生まれたのが「紀州てまり」と「紀州あかり」です。

紀州てまり

紀州てまりの一番の特徴はその大きさ。丸くて大きい実は400g級あり、その名のとおり手毬のようです。「早秋」という品種に「太秋」を交配して生まれた柿で、太秋柿よりも高い17度となっています。

2020年から出荷が始まり、栽培面積は2021年に17.2ha、2022年には55haとなり、期待が高まっている品種です。

紀州あかり

2021年に開発された紀州あかりは紀州てまりよりやや小ぶりで250~300グラムです。果皮は紅橙色で果皮の色が赤い品種「早秋」に多汁で糖度が高い「太秋」を交配して開発されました。

富有より早い10月中旬から下旬に収穫が可能で、脱渋が不要な完全甘柿。糖度は富有と同等かやや高い17前後の豊かな甘みで、シャキシャキとした食感になっています。県が開発したオリジナル品種として、紀州てまりに続く品種です。収穫が始まるのは2025年以降となる予定です。